子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内腔にあるべき子宮内膜や子宮内膜に似た組織が、卵巣や卵管などの子宮以外の場所にできる病気です。
子宮以外の場所にできた子宮内膜も、本来の子宮の周期と同じような変化が起こります。
本来、はがれ落ちた内膜や血液は月経となって膣から排出されますが、子宮外で剥がれ落ちた内膜や血液は排出することができません。そのため、血液の塊ができ、様々な症状を引き起こします。
自覚症状
- 重い生理痛
- 出血量が多い
- 不正出血
- 排便・排尿痛
- 性交痛 など
※治療には個々の症状、状況に併せて漢方薬やピルの処方を用います。
漢方・お薬の処方
当帰芍薬散
【月経の3週間前から】
骨盤の中の血流を良くし痛みの物質を早く流し、常に半身浴をしているような状態にしてくれる漢方です。
芍薬甘草湯
【月経の1週間前から】
過剰な子宮の収縮を抑えます。
ロキソニン
【月経開始時すぐに】
子宮収縮時に出る痛み、月経痛の原因物質を抑えます。痛みが出る前に服用するのがポイントです。
ピルの処方
子宮内膜は女性ホルモン”エストロゲン”の作用により増殖しますが、このエストロゲンの作用をピルで抑制することで、様々な症状を軽減します。欧米では一般的に行なわれている治療です。
「子宮内膜症に伴う月経困難症」という診断の保険適応治療薬もあります。詳細は診察時にご相談ください。
ピルは子宮がん等がある場合処方ができません。事前に必ず子宮がん検診、及び超音波検査を受けましょう。
子宮筋腫
子宮の筋肉の中にできる「こぶ」のようなもので、ほとんどが他の臓器に転移することのない良性腫瘍です。
30代半ば~50代半ばの方に多い病気ですが、最近は20代の方にも見受けられます。(成人女性の5人に1人はあると言われています。)
自覚症状
- 重い生理痛
- 出血量が多い
- レバーのような塊が出る
- 貧血
- 不正出血
子宮筋腫自体はかなり多くの方が持っており、
妊娠、出産への影響はまちまちです。
全く影響の無い場合もありますし、大きさや場所によっては
赤ちゃんが育つ過程で邪魔になることもあります。
妊娠・出産を望まれる方は、定期的な検診をおすすめします。
子宮外妊娠(異所性妊娠)
子宮外妊娠とは、本来であれば子宮内膜に着床するはずの受精卵が、子宮内膜以外に着床してしまうことを言います。正式には、異所性妊娠と呼ばれます。子宮外妊娠のほとんどが、卵管妊娠ですが、卵巣妊娠、腹膜妊娠、頸管妊娠などもあります。子宮外妊娠の症状には、下腹部の痙攣や痛み、継続的な出血があります。妊娠の可能性があるときに、これらの症状が現れた場合は、早めの受診が必要です。受精卵が成長し、卵管が破裂するに至った場合には、下腹部に激痛があります。そのまま放置すると、卵管の破裂に伴い大量の出血や、血圧低下などでショック状態になり、命にかかわる可能性もあります。
感染予防ワクチン
ヒトパピローマウイルス(HPV)について
子宮頸がんはその他のがんと異なり、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染から発症するがんであることが明らかになっています。
このヒトパピローマウイルス(HPV)は皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100種類以上のタイプがあり、このうち約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。
中でもHPV 16型とHPV 18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している女性の約70~80%から見つかっています。発がん性HPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。
女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほど、とてもありふれたウイルスであり、このことから性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っていると言えます。
子宮頸がん予防ワクチン
9価子宮頸がんワクチンは他の種類のワクチンと比べてHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染予防に更に高い効果が期待できると言われています。
子宮頸がん及びその前がん病変、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマに関係するHPV6、11、16、18、31、33、45、52、58型の9つの型の感染を予防するするワクチンです。当院では公費接種と自費診療があります。
公費接種について詳しくはこちら>>
令和6年度公費接種 | 対象者 |
---|---|
定期接種 | 小学校6年生から高校1年生相当年齢の女子 |
キャッチアップ接種 | 平成9年4月2日から平成20年4月1日生の方 ※令和4年4月1日から令和7年3月31日までの期間限定 |
ワクチン接種料金:
33,000円(税込)×3回
計99,000円(税込)※自費
【予約制です】